「Dr. HOUSE」シーズン2の第16話(ring a bellほか)

「Dr. HOUSE」シーズン2の第16話です。PotPlayerで英語の字幕を読み込み、日本語字幕と同時表示させ、スクリーンショットをとりました。画像、日本語字幕、英語字幕の著作権はそれぞれ各作成者にあります。

(以下字幕)
Antibiotics? Penicillin?
抗生物質? ペニシリン?
Any of those names ring a bell?
それ以外か?
(字幕終わり)

ring a bellは「心当たりがある」で、よく出てきます。具体的には、「抗生物質やペニシリンは、(今まで)使ったことがあるか」の意味です。「それ以外か?」に該当する英文はありません。

次です。

(以下字幕)
(フォアマン)Well, blood work to rule out infection, and then a heart surgical biopsy to rule out rejection.
感染を調べる血液検査と拒否反応を調べる心生検だ
(女性患者)But you don’t think you’re gonna rule out both things, do you?
どうせムダなんでしょ
(フォアマン)No.
かもな
(字幕終わり)

rule outは「除外する」です。したがって、厳密には「感染を除外するための血液検査と拒否反応を除外するための心生検を行います」。

2番目の英文は、「両方(感染と拒否反応)とも除外する(できる)とは考えていないんでしょ」が直訳です。3番目のNo.は、No, I don’t think ~の省略形ですので、「両方とも除外できるとは考えていない」、つまり「感染または拒否反応のどちらかの可能性がある」が基本的な意味です。

次です。

(以下字幕)
There could be drug breakthroughs that allow you to keep it for decades more.
薬を使えばさらに10年以上もつ
(字幕終わり)

drug breakthroughは「薬に関する(行き詰まり)の突破、突破口、進歩、躍進、発見」、つまり、新薬の開発・普及を指しています。そのような新薬ができれば、あと数十年は心臓がもつのです(この患者は、心臓移植しました)。

次です。

(以下字幕)
Any way that anaphylaxis isn’t anaphylaxis even if it responds to epi?
アナフィラキシー以外でも エピペンに反応を?
No. Oh, no wonder you were in the mood.
ああ
(字幕終わり)

epiはEpiPenの略です。Epiと書くべきでしょうが、字幕の表記が間違っているかもしれません。

以下、Wikipediaの説明です。

「エピペン(EpiPen)とは、ハチ刺傷、食物アレルギーなどによるアナフィラキシーに対する緊急補助治療に使用される医薬品である。アナフィラキシーを起こす可能性の高い患者が常備することで、発症の際に医療機関へ搬送されるまでの症状悪化防止に役立つ。」

Any wayの前のIs thereが省略されています。直訳は、「アナフィラキシーがEpiPenに反応しても、(そのアナフィラキシーが)アナフィラキシーではないということはあり得るのか」くらいです。言い換えると、「EpiPenが効いても、病気がアナフィラキシーではないということがあるのか?」。

その答えがNo.ですので、「いいや、そんなことはない」→「EpiPenが効けば、病気はアナフィラキシーだ(に間違いない)」。これが医学的に正しいかどうかは、専門の方にお聞きください。

アナフィラキシーのスペルは字幕にあるようにanaphylaxisで、発音は「アナフィラ’クスィス(æ̀nəfəlǽksis)」です。どういうわけか、日本語では「スィス」が「シー」になっています。

次です。

(以下字幕)
You argued that there must be something to connect all three symptoms,
3つの共通点を考えるべきなのに
you mocked us for not figuring it out,
答えが出ないとバカにするから
and finally you let us discuss the paralysis on its own because it’s what’s gonna kill her.
麻痺を優先するしかない
(字幕終わり)

上の日本語訳は、考えすぎです。3つの節が順に並んでいるだけです。

You argued that there must be something to connect all three symptoms,
最初にあなた(ハウス)は、3つの症状をつなぐ何かがあるはずだと言った。

you mocked us for not figuring it out,
次に、われわれがそれを発見できないとバカにし、

and finally you let us discuss the paralysis on its own because it’s what’s gonna kill her.
最後に、このままでは(麻痺によって)患者が死ぬから、麻痺について議論しろと指示した(→ハウス、アンタは実に勝手な人だ)。

次です。

(以下字幕)
(カディ)Except that ticks aren’t usually invisible.
虫刺されは見えないわよ
(ハウス)They are until you find them.
(日本語幕なし)
(ハウス)Oh, no. That’s dandruff. Okay, well, that wasn’t nearly as dramatic as I’d hoped.
ふけか そうカッコ良く行かないな
(字幕終わり)

tickは「ダニ」です。Exceptは、ここではほとんどButと同じです。最初の文は、「だけど、ダニは通常、見えないことはない→見える」で、字幕の訳は意味が逆です。また、「虫刺され」はどこにもありません。

They are (invisible) until you find them.は、「ダニは、見つけるまで見えない」→「見つける気にならなければ見つからない」。

映画の字幕の訳は、思ったより解釈間違いや誤りが多いのです。ただ、技術・実務分野の訳よりは数段、出来がよく、その点は評価しなければなりません。皮肉に聞こえれば、いい耳をお持ちです。

以上