ジュラシック・ワールド 新たなる支配者(being shot atなど)

「ジュラシック・ワールド 新たなる支配者」からです。ジュラシック・パーク/ワールドの字幕については、何回か書いたことがあります。いともどおり、英語の字幕を表示し、スクリーンショットを撮りました。脚本(英語)はよくできており、品格もあります。B級映画では、脚本もそれなりです。

(以下字幕)
Claire.
クレア

You’re doing the right thing.
あなたのやってることは正しいけど

But this… this isn’t the way to go about it anymore.
無茶なのよ

FRANKLIN: Honestly, you need someone who’s good at being shot at.
フランクリン:銃が使える奴を

(字幕終わり)

クレアは、獣医師のジアと仲間のフランクリンを連れて、違法な恐竜繁殖施設に閉じ込められている恐竜を助けに向かいます。施設の従業員に見つかって逃走し、銃撃も受けます。

問題はフランクリンの台詞です。日本語字幕は「銃が使える奴を」となっていますが、原文はbeing shot atと受動態です。つまり、この台詞は、「君は、銃撃される/銃撃を受けるのがうまい/得意な人間を必要としている」が正しい解釈と思います。

フランクリンはクレアに頼まれてきたのですが、もうこんなことは嫌だ、御免だという気持ちから出た皮肉(冗談)なんでしょう。

be shot atは「銃撃を受ける」で弾が当たったとは限りません。当たったなら、was/were/got shot(撃たれた)です。

次です。

(以下字幕)

Human beings have no more right to safety or liberty
”人類は他の生物よりも安全と自由の権利を持ってる” 

than any other creature on this planet.
そういう考えは間違いだ

We not only lack dominion over nature,
人類は自然を支配しているどころか–

we’re subordinate to it.
従属している

(字幕終わり)

Human beings have ~ の文は、訳者は翻訳に苦労したかもしれません。「そういう考えは間違いだ」に苦労の跡が見えます。

この文をそのまま訳すと、「人類は、この惑星/地球上の人間以外のどの生物より、安全または自由に対する権利を多くは持っていない」などとなります。騙されてはいけません。ここは受験英語の引っかけ問題のようです。ただしプロが間違ってはいけません。

クジラの公式です。ご存じのように次のような構文です。
A whale is not a fish any more than a horse is.  または、
A whale is no more a fish than a horse is.
(馬が魚でないのと同様に、クジラも魚ではない)

従って、Human beings have no more right to safety or liberty than any other creature on this planet. は、

「人類は、この惑星/地球上の人間以外のどの生物と同じく、安全または自由に対する権利を持っていない。」

が正しい解釈です。動詞が、be動詞ではなくhaveなのが混乱の原因でしょうか。

we’re subordinate to it の前にbutがあり、省略されています。直訳は、

「人類は自然を支配していないだけでなく、自然に従属もしている。」

次です。

(以下字幕)

You control the future of our survival on planet Earth.
人類の存続が可能かどうか それは君ら次第だ

According to you,
the solution is genetic power.
遺伝子パワーが活路?

But that same power could
devastate the food supply,
だが そのパワーが食料網を破壊

create new diseases,
alter the climate even further.
新しい疫病や急激な気候変動を招き–

Unforeseen consequences occur.
予期せぬ結果をもたらす

And every time,
every single time…
そういう状況になった時
諸君はどう反応する?

…we all act surprised?
”こんなはずではなかった”と驚く

Because deep down, I don’t think that any of us
actually believe that these dangers are real.
そして こう思う
”この危機は現実じゃない”

(字幕終わり)

…we all act surprised? は、「”こんなはずではなかった”と驚く」とありますが、このactは、次の意味です。

英辞郎:【自動-6】〔~の〕ふりをする◆【用法】act + 形容詞(deadなど)
ジーニアス第3版:b [SVC] (実際はそうではないが)…らしく装う《◆Cは形容詞》∥
~ dead 死んだふりをする(=play dead).

つまり、「驚くふりをする」です。だから、「我々はみな、心の底ではこの危機を本当の危機とは思っていると私は思わない/本当の危機とは思っていないと私は思う」のです。「驚くふりをする」だけですから、いつまで経っても問題は解決しません。

次です。

(以下字幕)

Yeah, but if these things continue to multiply,
we’re talking about cascading system-wide effects, Ian.
エスカレートすると
とんでもない事態になるのよ

Gosh, that’s a drag.
興味ないね

What is the matter with you?
よくそんなことを

Why? Is there something special
you want me to do?
僕に何をしろと?

Yeah, how about give a damn?
真剣に!

You know far too much not to care.
(エリー・サトラー博士の台詞、訳なし、)

(字幕終わり)

Gosh, that’s a drag.のdragは、「つまらないもの」などという意味があります。下記は、英辞郎の定義です。

【名-1】妨げ、障害、足手まとい
【名-2】〈話〉〔仕事や人などが〕退屈なもの、うんざりさせるもの、面倒なもの
・Don’t be such a drag. 野暮なことを言うな[するな]
・It’s a drag to catch a disease. 病気になるのは困る
・What a drag. なんて面倒くさいんだ。/なんてつまらないんだろう!
・School is such a drag. 学校、かったるいなあ
・That’s a drag. それは面倒[大変]だね

Yeah, how about give a damn? は、「少しは関心を持ったらどうだい?」。

You know far too much not to care.は、訳はありませんが、「あなたは、あまりにも多くを知っているため、関心を抱かないではいられない(はずだ)」と解釈できます。

次です。

(以下字幕)

You don’t look like you fly for Biosyn.
君もバイオシン?

I’m gonna take that the way you meant it
and not the way it sounded.
そうみえるかい? 外れ

I fly from(間違い、正しくはfor) whoever got a bag,
but we’ll call this one a favor.
特別にタダで飛んでやる

※上のfly fromは、fly forの間違い。この英語の字幕は、誰かがボランティアで作成・公開しているもので(Subsceneなど)、脚本をOCRで抽出したか、音声認識ソフトで取り出したと思われます。時々、エラー(スペルや大文字小文字の判別間違いなど)があります。

(字幕終わり)

納期が迫っていたのか、はしょり気味です。

I’m gonna take that the way you meant it and not the way it sounded. がちょっと厄介です。

「私は、あなたがそれ(言葉)を意味したように取り、その言葉が聞こえるよう/広義の意味には取らない」が直訳です。つまり、fly forは、「(会社などに)操縦士として勤務している」という意味と(男性=オーウェンはそう思っている)、「~のために飛行機を飛ばす(従業員とは限らない)」という2種類の意味があります。

したがって、I fly for whoever got a bagは、バイオシン社のために飛行機を飛ばすが、そのほか「(金の)袋を持っている/持ってくる奴のためなら誰でも飛行機を飛ばす」と解釈できます。

以上