「Dr.HOUSE」シーズン2第5話(followほか)

「Dr.HOUSE」シーズン2の第5話からです。「Dr. HOUSE」は日本語版の題名で、原題は「House M.D.」です。日本語の題名「「Dr.HOUSE」」は表記がおかしく、まず、Dr.の次には空白が必要ですが、ありません。また、HOUSEは、Houseと書くのが普通です。

以下、followについてです。

(以下字幕)
We knew if it was myelitis, there had to be an “-itis”.
脊髄炎なら熱が出るはず
This must be the infection that set it off.
やはり感染症では?
Yeah. Except in this universe, effect follows cause.
結果が原因を導く世界だ
(字幕終わり)

itis(アイティス/アイタス)は医学用語で、「炎」の意味です。myelはmyeloの異形(連結形)で、意味は「骨髄、脊髄」です。日本語字幕では、”-itis”を「熱」と訳しています。

二つ目の文のinfection は「感染症」ではなく「(何らかの病原体の)感染」が適当と思います。itは「熱(fever)」、set ~ offは、「~を引き起こす」。感染症は、an infectious diseaseです。infectionにtheがついているのは、すでに感染も考慮に入れていたからでしょう。

Except in this universe, effect follows cause.ですが、これは解釈が難しい文です。

Exceptは、ここでは「除いて」ではなく「だが(But)」と考えるのが妥当と思われます。口語では、文頭でButの意味で使われることもあります。映画の台詞では、ときどき見かけます。

つまり、ここは「今までいろいろ症状(結果)について考えてきたが/症状を考えることも大事だが、この世界では(現実的には)、結果は原因の後に来るものだ(原因が重要であり、原因を特定しなければならない)」と解釈するのが正しいと思います。

A follow Bは、「AはBに従う(AはBの後に続く/来る)」であって、「結果が原因を導く」は順番が逆です。または、意味が曖昧です。訳者は、「結果によって原因が分かる」という意味で書いたのかもしれません。(You) Follow me.は、「私の後についてきてください」です。I will follow you.は、「私はあなたの後ろについていきます」。

それともExcept in this universeを素直に訳して、「この世界(医学の世界)以外では、結果(症状)は原因(病気)の後に来る → この世界では、原因は結果の後に来る(結果が重要であり、そのような結果をもとに原因を特定しなければならない)」と考えることもできます。この場合は、意味は上の例と逆になります。Dr. HOUSEシリーズの台詞は、皮肉と冗談に満ちているので翻訳は簡単ではないようです。

次です。

(以下字幕)
Trust me, your mom would much rather think you have a business meeting than you hate her.
仕事って言われた方が息子に憎まれるよりマシよ
(字幕終わり)

ハウスは、久しぶりにやってきた両親に会うのが嫌で逃げ回っています。hateは、ここでは「憎む」というより「嫌う」が適当です。ここは、 「(あなたの母親にとっては)息子が自分に会うのをいやがっていると考えるより、仕事で会えないと考える方が気が楽」という意味でしょう。

次です。

(以下字幕)
He’s vomited in excess of three units of blood. He needs to be admitted before…
患者は大量に出血していて・・・
If you wanted to be a doctor, maybe you should have buckled down a little more in high school.
医者志望なら なぜ勉強しなかった?      
Bite me.
ゲス野郎
(字幕終わり)

救急隊員が患者を搬送してきて、「大量に出血していているから、(ここで診察するより早く入院させて診察した方がいいのではないですか)」というハウスに助言します。

ハウスは「医者になりたかったのなら、高校のときにもっと勉強するべきだったな」と答えます(「余計なことを言うな」というハウスの嫌みです)。

Bite me.は、「むかつく!/くたばれ!/放っておいてくれ!/構わないでくれ!/消えうせろ!◆憤りを表す俗語表現」です(例辞郎)。「ゲス野郎」は少し乱暴な表現で、「放っておいてください」、「余計なお世話です」、「あなたには無関係です」などのほうが良いと思います(ただし、字数制限がありますので短くしなければなりません)。

次です。

(以下字幕)
You told us you owned a construction company, not a salvage yard.
建設会社を持っていると言ったな
I know the way things work. The better my job, the better my son gets treated.
いい仕事の方が息子への待遇もいい
(字幕終わり)

ownはもちろん「持っている」ですが、「建設会社を経営している」などのほうが日本語らしいと思います。

my son gets treatedは、「待遇もいい」より、「世間受けが良い/丁寧に扱ってくれる/大事にしてくれる/聞こえがいい」などという表現を考えるといいかもしれません。

次です。

(以下字幕)
Do you like the Beatles?
ビートルズは好きか?
They’re all right.
ええ まあ
My 12-year-old just turned me back on to them.
12歳の子供にバカにされた
McCartney’s gotta have more money than God.
マッカートニーはかなりもうけてる
(字幕終わり)

「12歳の子供にバカにされた」は勘違いでしょう。ここは、turnは「(人を/人の関心を)向ける」、back on toは「(かつての)~へ(toward)」ですので、「12歳の子供に言われて思い出した」くらいの意味でしょう。それで、「マッカートニーはかなりもうけてる」というアイデアが頭に浮かんだのです。

以上