映画「ワンダーウーマン」の場面です(PowerDVDで英語・日本語字幕同時表示し、キャプチャー)。

And once I find and destroy Ares, the German armies will be freed from his influence…
アレスを倒せば独軍も「悪」から解放され、

and they will be good man again, and the world will be better.
善人に戻り、世界は平和になる。

Great.
最高だ。

You’ll see.
でしょう。

気になるのは、最後の「You’ll see.」です。これは、文字通り「(あなたは)今後/将来分かるでしょう」で、「今に分かる」が定訳です。ここでは、「今に/見ていれば/そのうち分かるわ」。女性の台詞を訳すと、どうして判で押したように「~わ」や「~よ」がつくのか不思議です。

ギリシャ人の名前は、日本語と英語では発音が異なります。Ares(ギリシャ神話の軍神)は、é(ə)riːz(エ’(ア)リーズ)です。映画(日本語)では、「アレス」となっています。以下、参考まで(’=強勢)。

ソクラテス:Socrates(sɑ’krətiːz=ソ’クラティーズ)
アキレス:Achilles(əkíliːz=アキ’リーズ)
アリストテレス:Aristotle(ǽrəstɑ`tl=ア’リ(ラ)ストトル)
(または、Aristoteles、æriˈstɒtəliːz=アリ’ストタリーズ)


Sir, the men have had no food, no sleep.
全員、不眠不休で食事も取っていません。

Do you think I have had any food or rest, Captain? Do you hear me making excuses?
私が食べて休んで言い訳をするか?

Do you think I have had any food or rest, Captain?は反語表現です。つまり、「私が食べてたり休んだりしていると思うか?→そんなことはない」という意味です。
Do you hear me making excuses?は、「(私だって、兵士と同じく)食べてたり休んだりしていないのに、それで、私が言い訳をするのを聞いたことがあるか?」

参考までに、これも反語です。ここは、正しく訳されています。
And suddenly she’s not the most beautiful woman you’ve ever seen?
直訳は、「それで(眼鏡をかけて)、突然、今まで見たことのある最高の美人ではなくなった→いや、そんなことはない。同じく美人だ」。


And it does rather feel like that, except the pay is very good.
扱いは奴隷だけど、お給料はいいのよ。

We’ve got our work cut out for us, haven’t we?
忙しすぎるけど。

この女性(エタ)はダイアナ(=ワンダーウーマン)の秘書をしています。最後の「忙しすぎるけど」に対応する英語はどこにもありません。

cut out forは、「〔人の性格が職種・環境・交際相手などに〕適している、向いている(~に合わせて裁断されている)」(英辞郎より)という意味。したがって、「人は、自分に合った仕事をするもの、そうじゃない?」(私は、秘書の能力がある)と解釈するのが妥当かと思います。


So, who do you fight for in this war?
あなたは誰と戦争を?

この英文のwhoを移動すると、So, do you fight for who (whom) in this war?です。つまり、「この戦争で、誰のために戦うの?」であって、「誰と戦争をするの」ではありません。下は、forを使った類似の疑問です(what… for)。

What are they cheering for?
(字幕)何の騒ぎだ。

「彼らは、何のために騒いでいるんだ?」が直訳です。


This battalion has been here for nearly a year, and they barely gained an inch.
この大隊も1年戦って、2センチも進んでいない。

ここは誤りでないかもしれませんが、barelyは押さえておく必要があります。

barely=かろうじてある、ようやく/やっと~だ/した(肯定)
例:I was barely 18. =18歳になったばかりだった/やっと18歳になった(18歳になったです)。

almost=ほとんど/九分通り達成されているがまだ少し足りない(否定)
例:I almost died. =死ぬところだった。(死ななかったのです)

したがって、上の英文は、「この大隊は1年も戦っているが、ようやく2センチ進んだだけだ/進んだに過ぎない」が適当かと思われます。

「ワンダーウーマン」はヒット作品のようですが、字幕の訳は惜しいといわざるを得ません(時間が無かったのかもしれません)。

以上