「反語」とは、
- 断定を強調するために、言いたいことと反対の内容を疑問の形で述べる表現。「そんなことがあり得ようか(あるはずがない)」などの類。
- 表面ではほめ、またはそしって、裏にその反対の意味を含ませる言い方。多くは皮肉な言い方となる。「ふん、よく出来た子だよ(まったくひどい)」などの類。
出典:デジタル大辞泉
これは、英語でもほぼ同じです(rhetorical question)。
下は、「エレメンタリーシャーロック」、シーズン1、ディスク3の一場面です(PowerDVDで日本語と英語の字幕を同時表示)。
– Can I ask you a question?
– Can I stop you?
上のCan I stop you?は、反語です。つまり、
(君が)質問するのを(僕が)断ることができる?
↓
いや、断ることはできない。
↓
いやとは言えないな/はい、どうぞ(皮肉を込めて)。
したがって、字幕の「断っていい?」は間違いとは言えないものの、その場の状況から、また、次の台詞とのつながりから見て、もう少し「肯定」側に寄る(イヤだけど、仕方がない)のが適当かもしれません。
反対に、否定のCan’t I stop you?の場合(この用例はあまりないが、理論的には可能)、
(君が)質問するのを断ることができないのかい/できないというのかい?
↓
いや、断ることはできる。
↓
いやだね/答えられない/ダメ。
もう一つ、同じDVDからの例(ただし、無理に反語として訳す必要もない?)。
– Have you ever seen a poorer excuse for a liar?
これより下手な言い訳をする嘘つきを見たことがあるかい/嘘つきの言い訳として、こんな下手くそなのを聞いたことがあるかい?
↓
もちろん、ない。
↓
いやはや、何ともお粗末な/見え見えだな/もう少しましなウソがつけないか/往生際の悪いやつだ(字幕)。