有名な「否定疑問文(否定文の疑問文)」は中学校で習う基本文法ですが、うっかりすると間違えてしまいます。例えば、日本語と英語では、否定疑問文の答え方は逆になります。
今朝、朝ご飯、食べなかったんですか?
はい、食べませんでした。
いいえ、食べました。
Didn’t you eat breakfast this morning? (今朝、朝ご飯、食べなかったんですか?)
No, I didn’t (eat breakfast this morning). (いいえ、食べませんでした。)
Yes, I did (ate breakfast this morning). (はい、食べました。)
要するに英語では、
Yes+肯定文 No+否定文
とするのが規則なのです。
次は、「エレメンタリーシャーロック」、シーズン1、ディスク10の画面です。
英文字幕:Culprit didn’t by any chance confess to being his accomplice, did he?
和文字幕:犯人は共犯者じゃないんだな。
英文字幕:GREGSON: No. His name is Anthony Pistone.
和文字幕:グレッグソン(警部):違う。アンソニー・ピストン。
最初の英文は、文字通り訳すと「犯人は、自分は(彼の)共犯者だと自白しなかったんだな(付加疑問文あり)?」。
この質問に、グレッグソンは単に「No.」と答えていますが、省略せずに書くと、
No, culprit didn’t by any chance confess to being his accomplice.(直訳=いいや、犯人は、自分は(彼の)共犯者だと自白しなかった)
です。
ところが、日本語では上述のとおり、この場合、「そうだ、犯人は、自分は(彼の)共犯者だと自白しなかった」という表現が正しく、したがって、字幕の「違う」ではなく、「そうだ/そのとおり」が正解です。
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もう1つ、否定疑問文の例です。
That’s great but it still doesn’t tell us the real name.
Nope. But it did help me find photographs.
厳密に言えば否定疑問文ではありませんが(疑問符なし)、Nopeという答えがあるので類似表現です。
Nope.=No, it still doesn’t tell us the real name.
字幕の訳は、間違ってはいません。
以上