映画「ハウス・オブ・ザ・ドラゴン（シーズン2第8話」を観ていてdiscretionが出てきましたので、少し書きます。
いつもの通り、Potplayerで英語字幕を挿入し、スクリーンショットを撮りました。英語字幕は、インターネットからダウンロードし、日本語と英語の両方を画面に表示させました。この方式が利用できるのは、知っている限りではPotplayerだけです。PowerDVDでも可能ですが、映画データ（DVDなど）に日本語と英語の字幕が両方、組み込まれている場合に限られます。
以下、discretionが出てくる場面です。
以下、英語と日本語の字幕です。
Grand Maester Orwyle:
Your Grace.
（上級学匠）
（はい）陛下
Grand Maester.
上級学匠
I must again request your assistance.
もう一度、手を貸して
I need passage.
行きたい場所があるの
And your discretion.
慎重にお願い
（以上、句読点省略）
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I need passage.は、敵である自称女王（Rhaenyra）の城にこっそり行きたいから道を確保してください、という意味です。
気になるのは、And (I need) your discretion.です。 discretionは、当然ながら「分別、思慮、思慮深さ、慎重さ」（英辞郎151）で問題はないのですが、ここでは、「慎重」というより「内密、秘密、他言無用、非公開、機密」の意味と思います。
自称女王とは対立関係にあり、この女性（Alicent）はできれば戦争を避けたいと考え、直談判に行くのです。それも一人で秘密裏に敵の城まで行きたいというのです。ですから、ここは「慎重」より「（このことは）内密に／秘密に／誰にも言わないで」が正解のような気がします。
なお、この映画では、Rhaenyra（レイニラ）のようにaeという綴りが多く出てきますが、これは「エイ」と発音されています。
discreet（discretionの形容詞）を辞書で引くと次のように書かれています。
以下、ジーニアス英和第3版（少し古い）
discreet
【形】(通例more型)
1 〈人・行為が〉思慮[分別]のある；〔…に〕慎重で〔in〕∥
～ inquiries 慎重な調査/
It was not ～ of him to have done such a thing.そんなことをしたのは彼も思慮が足りなかったね.
2 控え目な,目立たない.
以下、英辞郎151
discreet
【形-1】〔人の言動が〕慎重な◆【反】indiscreet
【形-2】〔秘密などを〕口外しない、守る
【形-3】用心深い、慎重な
【形-4】目立たない、控えめな
比較して分かるように、英辞郎では「〔秘密などを〕口外しない、守る」という定義がありますが、 ジーニアス英和第3版にはありません。
「秘密」の意味のdiscreetは、映画などでときどき見かけることがあり、ジーニアス英和にはなく英辞郎にあるということは、比較的新しい意味なのかもしれません。または、confidentialなどの婉曲表現ということも考えられます。
下は、今まで出会った「秘密」の意味のdiscreetの例です。主に映画を観ながらとったメモの中から抽出したものです。訳は、主に私がつけたものですが、オリジナルの字幕もあります。
なお、discreetはdiscretionの形容詞ですが、両者がまったく同じ意味やニュアンスであるかどうかは不明です。
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I am discreet.
私は慎重である／口が硬い。
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Well, neither of them are especially discreet.
どちらも、とくに慎重ということはなかった／率直に話した／遠慮なくしゃべった。
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I thought (that) it (was) best (to be) shared discreetly before the council convenes.
評議会を開く前に内密にお知らせするのがベストと思って。
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I know we can count on you to be discreet.
（我々は）君を慎重な男／秘密を守る人間と思っている／信じている。／口が堅い／秘密を口外しないと信じている。
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Yes, and they’ve all agreed to keep the incident discreet.
はい。彼らは全員、この事件／出来事を秘密にしておくことに同意しました。
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keep ~ discreet
秘密にしておく／公表しないでおく
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以上