倒置構文(「マスケティアーズ」シーズン2、第10話)

「マスケティアーズ」シーズン2、第10話の画面です。PowerDVDで英語字幕・日本語字幕同時表示です。倒置構文がありましたので、紹介します。倒置は口語ではあまり使われないと思いますが、ここにはありました。もっとも、映画の台詞には脚本がありますので、厳密には台詞は口語とは言えないかもしれません。

国王:What is that?(それは?)
ロシュフォール:The only certain way of defeating her enemies.(反乱を起こさないための唯一の方法です)
ロシュフォール:You must sign it.(ご署名ください)
ロシュフォール:Only then can you be safe.(陛下の安全のために)
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ロシュフォールが、王妃の死刑執行の書類を出し、国王に署名させようとしている場面です。

You must sign it. のmustは、もちろん「~しなければならない」ですが、have toとは異なり、話し手/書き手の意志を表します。つまり、「私は、あなたに~してほしい」という感じです。一方、have toは、周囲の客観的な状況が原因となって「~しなければならない」という意味です。

Only then can you be safe.は倒置構文で、通常の語順はOnly then you can be safe.です。これは強調のための倒置などと呼ばれています。

類例: Only in this way / In this way alone can we explain the mystery.
 (その神秘は,このようにしか説明のしようがない)
(「英文法解説改訂三版」より)

次です。

ロシュフォールLiars.(ウソつき)
王妃:Yours are the lies, Rochefort.(それはあなたよ)
王妃:And they will join you in your grave.(汚名と共に葬ってあげる)
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ロシュフォールがスペインのスパイだとバレ、ダルタニアンと戦って致命傷を負い、王妃たちに対して「ウソつき」と言います。

第2文(Yours are the lies, Rochefort.=それはあなたよ)のYoursは「あなたが言ったこと」ですから、「あなたが言ったことこそウソ」くらいでしょうか。それともThe lies are yours.の倒置かもしれません。

3文のtheyは、the liesを受けています。したがって、「汚名」ではなく「(あなたの)ウソといっしょに葬ってあげる」のほうが正確と思います。

以上