Not that 節 = 「that以下ではない」

「マスケティアーズ」シーズン2のエピソード3の場面です。いつものように、PowerDVDで英語・日本語字幕同時表示し、画面キャプチャーしました。

サマラとポルトスは、監禁されています。ポルトスの片足(大腿部)には矢が刺さっており、サマラが手当をしようとしています。

以下、この部分の字幕です。

失血死しないように手当を(この日本語字幕は一つ前の英語字幕、Making sure you don’t bleed to death.の訳です)
If that leg becomes infected, you’ll lose it.
化膿したら脚を失うわよ
Is there much demand for one-legged Musketeers?
それでも銃士でいられる?
Not that you were much more use with two.
今も役立たずなのに

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Is there much demand for one-legged Musketeers? の直訳は「片足の銃士に多くの需要はある?」。ここは反語で、意味は「(いいや)片足の銃士には用はない/だれも仕事は頼まない」くらい。

最後の英文、Not that you were much more use with two.は多少考えが必要です。まず、with twoは、with two legs。

Not that ~ は、ズバリ「that ~ ではない/というわけではない」です。日本語訳は「今も役立たずなのに」となっていますが、直訳すると「両足があった(動いた)ときでも、今(片足が動かないとき)より、それほど役に立ったわけでもない(のに)」くらいでしょうか。訳は、「両足があったときでも大した働きはしなかったのに」などが適当かと思います(ただし字幕なので字数制限があります)。

少し長くなりますが、「英文法解説」(改訂三版、江川泰一郎著)からの抜粋です。

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(以下388ページ)

 《参考》not that「‥,というわけではない」は It is not that ・・・の省略形として成句化している。
I declined the invitation. Not that I didn’t feel like going.
(招待を断りました。行きたくなかったわけではないのですが)

(中略)

A.(2)の参考に示した not that の例を追加しよう。
What’s he doing now? Not that I care.
(彼は今ごろ何をしているのだろうか。別に気にしているわけではないが)
Not that it matters, how did you spend the money I gave you?
(大したことではないが,私があげたお金はどうしたの)

(以下398ページ)

(3) that that I know of(=so far as I know)の形で否定文に伴い,第2例の Not that I know of. は相手の発言を受ける形として成句化している。
There has never been purse-snatching around here, that I know of.
(私の知る限り,この辺でノンドバッグのひったくりは今までありません)

(以下399ページ)

Is anyone going to visit Aunt Fanny in the hospital today?
(きょうはだれかファニーおばさんのお見舞いに病院へ行くのかしら)
– Not that I know of.
(私の知っている範囲では,だれも行きません)

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Not that ~ の説明は、上記の他にもインターネットにたくさん出ています。

以上