状況のit

「ゲーム・オブ・スローンズ」シーズン7のエピソード3「女王の正義」の場面です。

If she’s driven you this far, it’s gone beyond your control.
そこまで盲目になったら手の施しようがない

Yes.
そうさ

It has.
手の施しようがない


itには、主に下記の用法があるといいます(江川泰一郎著「英文法解説」より)。

普通の用法(代名詞)
天候・時間・距離のit
It seemsなど
形式主語のit
状況のit
形式目的語のit
強調構文(It is ~ that…)

上の場面では、普通の用法(先行するif節の内容を受けています)でしょうが、大きく考えれば「状況のit」とみることもできます。つまり、「話し手と聞き手が理解できるその場の状況」であって、天候・時間・距離のitを含め、各用法すべてを状況のitと解釈するのは無理でしょうか。

まず、itを使って漠然と何かを提示し、その後、内容を説明するという順序を取るのが英語では好まれるようです。これが、状況のitの「由来」かもしれません。

it’s (it has) gone beyond your controlは、「状況(彼女があんたをここまで狂わせたこと)は、あんたの制御能力を超えている」→「自分ではもうどうしようもない/どうにもできない」。「手の施しようがない」は、若干、ずれているような気がします。

It has.は、その後のgoneが省略されています。

以上